22. マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力計算_Ghosh_Olsonモデルワークフロー

22.1. 概要

マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力(Ghosh_Olsonモデル)を利用して臨界駆動力の計算を行うワークフローである。

22.2. ワークフローの説明

このモジュールは参考文献 1 の式(4)を実装したものである。 \(-\Delta G\) を臨界駆動力として出力する。

\[\begin{split}\begin{aligned} -\Delta G(M_s) &= 1010 + \sqrt{(4009*X_C^{0.5})^2 + (3097*X_N^{0.5})^2} \\ &+ \sqrt{(1868*X_{Cr}^{0.5})^2 + (1980*X_{Mn}^{0.5})^2 + (1418*X_{Mo}^{0.5})^2 + (1653*X_{Nb}^{0.5})^2 + (1879*X_{Si}^{0.5})^2} \\ &+ \sqrt{(280*X_{Al}^{0.5})^2 + (752*X_{Cu}^{0.5})^2 + (172*X_{Ni}^{0.5})^2} \end{aligned}\end{split}\]
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図 231 マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力計算_Ghosh_Olsonモデルワークフロー

1

参考文献:中村英樹,マルテンサイト系ステンレス鋼におけるMs点予測モデルの妥当性に関する実験的検証, https://doi.org/10.2355/tetsutohagane1955.85.3_249

22.3. ツールの説明

ワークフローで使用されるツールの説明。

22.3.1. 合金組成情報

いくつかの入力フォーマットのファイルより、合金の組成成分を分解する。 詳細は例題集 Vol.2「1. 組生分解、組成結合予測もジュールの使い方」を参照すること。

入力ファイル:
ポート名:合金種別
バランス元素を指定する。非必須ポートであり指定しない場合Fe(鉄)をバランス量元素として計算が行われる。( リスト 33 )
リスト 33 合金種別
Fe
入力ファイル:
ポート名:組成データ
組成データがまとめて記入してあるファイル。いくつかの種類に対応する。後述のデータタイプで種別を指定する。複数のデータタイプ、単位情報の混在は不可である。1行目はヘッダーとし、各元素のカラムは元素記号を指定する。( リスト 34 )
リスト 34 組成データ
index,Al,C,Cr,Cu,Mn,Mo,N,Nb,Ni,Si
0,0.00000975823,0.000282351,0.109255442,0.001149093,0.004172431,0.001717699,0.00002786152,0.0,0.001804273,0.001523625
入力ファイル:
ポート名:組成データタイプ
入力ポート、組成データがどのような種類のファイルであるかを指定する。( リスト 35 )
リスト 35 組成データタイプ
cct_matnavi

データタイプは以下のどれかを指定する。

  • cct_matnavi:組成データの様なCSV形式のファイル。

  • fe_composition:cct_matnaviと同等だが、バランス量が鉄(Fe)専用である。

入力ファイル:
ポート名:組成データ単位情報
組成データに指定されている各元素の単位を指定する。( リスト 36 )
リスト 36 組成データ単位情報
atomic_fraction

単位情報は以下のどれかを指定する。

  • mass_fraction:質量分率(指定元素がバランス量含めて合計1となる組み合わせ)

  • mass_percent:質量百分率(指定元素がバランス量含めて合計100となる組み合わせ)

  • atomic_fraction:原子分率

  • atomic_percent:原子百分率

注釈

本ワークフローは原子分率を入力に必要とするので、入力データは原子分率で用意し、組成データ単位情報にはatomic_fractionを指定する。

22.3.2. マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力計算_Ghosh_Olson

マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力予測(Ghosh_Olsenモデル)による計算式によって臨界駆動力を計算するモジュールである。

入力は組生分解モジュールより出力される、Al/C/Cr/Cu/Mn/Mo/N/Nb/Ni/Siの各元素の原子分率値を入力とする。

出力ファイル:
ポート名:マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力
マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力。単位はJ/molである。( リスト 37 )
リスト 37 マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力
1743.36989612778

22.3.3. サンプル入出力ファイル

このワークフローにおける入力ファイルは リスト 33リスト 36 となる。入力ファイル名は半角スペースを入れなければ任意のファイル名で良い。

注釈

予測モジュール提供元から受領した入力ファイルにて検証済み

22.4. ワークフローの実行

  1. ワークフローの選択

マルテンサイト変態開始のための臨界駆動力計算ワークフローを選択する。( 図 232 )

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図 232 ワークフロー選択

  1. 実行選択

ワークフローが公開中であることを確認し、実行ボタンを押下する。( 図 233 )

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図 233 実行の選択

  1. パラメータの入力と実行

各パラメータの入力ファイルをアップロードする。用意したファイルに対応するパラメータの参照ボタン(赤枠の中)を押下、ファイルを指定する。( 図 234 )

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図 234 パラメータの入力

指定が終ったら「実行」ボタンを押下する。( 図 235

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図 235 パラメータの入力

22.5. 計算結果の確認

  1. ダウンロード

計算が終了すると、計算結果をダウンロードすることが可能になる。 「ラン一覧」画面から計算が終了したワークフローに移動しラン詳細画面に移る。( 図 236 )

../_images/select_run.png

図 236 ラン一覧から結果の選択

「ダウンロード」ボタンを押下すると( 図 237 )、計算結果ファイルダウンロード画面に遷移する。

※ 計算結果ファイルダウンロード画面の操作手順は、マニュアルページの「材料設計ワークフローシステム 利用者マ ニュアル」の「6.2.4 計算結果ファイルをダウンロードする」を参照すること。

../_images/select_download.png

図 237 計算結果のダウンロード

注釈

ダウンロードしたファイルを解凍すると、ワークフローIDの名前のディレクトリが作成される。構造は「ワークフローID¥input」ディレクトリに入力に使用したファイルが、「ワークフローID_モジュール名」ディレクトリに計算結果が格納される。

  1. 画像の確認

各モジュールで出力される画像ファイルやテキストファイルがある場合、実行状況画面から閲覧することが可能である。 ラン詳細画面赤枠の「実行状況」を押下することで可能になる。( 図 238 )

../_images/view_status1.png

図 238 計算結果画面の指定

参照したいモジュールを押下し、メニューから電卓アイコンを押下する。( 図 239

../_images/module_output_select1.png

図 239 計算結果の表示

表示されたダイアログの出力ポートの選択肢から見たいポート名を選択する( 図 240 )

../_images/view_module_result1.png

図 240 計算結果の直接表示